当院では患者様に安心して医療サービスを受けて頂けるように、院内感染の予防に万全を期して様々な対策を講じております。院内感染対策基本方針に基づき、各部・各科の使命を明確化すると共に、各職員の役割分担も明確にし、定期的な研修会を実施して全職員の知識習得と意識醸成を図っています。私たちはいかなる場合においても、患者さまの人権を尊重し、科学的根拠に基づいた最適な医療により感染症対策を講じていきます。
わが国の感染症対策は、廃止された「らい予防法」の例からも明白なように「社会防衛」の名の下に患者に必要以上の犠牲を強いて人権を侵害してきたことは歴史的事実である。 過去を反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないということを遵守し、感染症対策を講じてゆくこととする。
いかなる場合においても、患者の人権を尊重し、インフォームドコンセントを前提としたEBM(科学的根拠に基づいた医療)を最大の柱と捉え感染症対策を行うものとする。
感染症対策は、一旦制度ができあがってしまうといわゆる「社会防衛」の名の下になかなか見直しができないきらいがある。1897年(明治30年)に制定された伝染病予防法が近年まで生きてきたのもその例であろう。しかし、ハンセン病がスルフォン剤の著明な効果と広範な使用によって外来治療により治療・予防できる疾患になった後も、長期間患者が隔離され人権が抑制されたことから明らかなとおり、治療法や予防法など医学的知見の変遷に伴い感染症予防対策の内容を適切に見直していくことが不可欠である。
したがって、一旦成立した感染症対策について、定期的に当該規制の必要性や合理性、規制の態様等について見直していくこととする。
病名を特定した規定はできるだけ避け、すべての感染症につき分類横断的に、下記の5つの要素を考え合わせ、最新の科学データと客観的証拠に基づき感染症の対策を行う。
- (1) 感染の仕方
- (2) 感染させうる期間
- (3) 感染の蓋然性
- (4) 感染した場合の重症度
- (5) 人権に対する配慮
1. 院運営会議での報告。
2. 感染制御チームからの報告を受け、その内容を検討した上で、感染制御チームの活動を支援するとともに、その検討結果を各部署に対し周知並びに改善を促す。
3. 緊急的に感染症が実際に発症し、感染拡大のおそれがある場合、その対応の検討、各部署への周知、対策の実効、実行後の評価、見直しを行う。
4. 院内感染防止に係わる各部門の統括
院内感染防止対策委員会は下記部門における院内感染防止対策に係わる統括をするものとする。
- ア. 臨床検査科(細菌学的検査に関わる部門)
- a 院内における分離細菌の情報提供
- b 院内における薬剤耐性菌の情報提供
- イ. 薬局(抗菌製剤および消毒剤の管理、助言を行う部門)
- a 抗菌製剤の適正使用の監視及び助言
- b 消毒剤の適正使用の監視及び助言
- ウ. 師長会(病棟、外来等各部署において対策を円滑に行えるシステム)
- a 看護部感染対策小委員会
師長及びスタッフによって構成され、月1回開催する - b 小委員会で出された問題点で解決できるものはその場で解決する
解決できない問題点については、院内感染防止対策委員会において検討する - c 注意力の高い職場にするために、院内感染予防に対する現場教育を徹底する
- d 消毒、清掃に関する資料の整理、具体化、チェック
- e 医療廃棄物の適正処理、管理
- f 看護部実施状況のとりまとめ及び報告
- エ. 管理・事務(清掃、医療廃棄物及び必要物品の管理、補充等を統括して行う部門)
- a 清掃業務の適正作業の監視及び指導
- b 医療廃棄物の適正処理、管理及び指導
- c 必要物品の管理及び補充
- d 浴槽の水質チェック
- オ. 栄養科(給食及び食品の衛生管理を行う部門)
- a 職員の感染予防(手指及び作業服の消毒、細菌検査)
- b 厨房及び機械器具の衛生管理(鼠属、昆虫類の消毒も含む)
- c 食品の消毒及び保管
- d 食品の衛生管理(食品の取扱い及び保管)
- e 感染症発生時の栄養科及び内外各所への感染予防
- カ. 病院長及び院内感染防止対策委員長
- キ. 3年以上の病院勤務経験をもつ専任の臨床検査技師
5. 院内感染管理者に配置
(4)のアからエまでに定める者の内、病院長より適任であると任命された1名を院内感染管理者として配置する。
共立病院院内感染防止対策は、病棟に設置し自由に閲覧できるようにする。
院内感染対策に関する職員研修は年に2回、医療安全講習会において合わせて行い、それとは別に感染制御チーム(ICT)による職員研修に関しても年に2回行うものとする。